白いジャージ ~先生と私~
消しゴムで消そうとする私の手を止める先生が言う。


「消さなくて良いよ。それは、大事な思い出だから・・」


そんな寂しそうな目をしないでよ・・・先生。


「俺、転勤なくなったから・・」


先生はまた耳元で囁く。


「えぇ??本当?」


転勤の話も、すっかり頭から抜けてたっけ・・

そっか・・転勤するかも知れなかったんだっけ。


「あと1年よろしくな。」


あと1年・・


その響きがとても寂しくて悲しかった。


あと1年で


私と先生は


生徒と教師じゃなくなり


もう会う理由がなくなるんだね。



「これ・・・」


先生は机の下から紙袋を取り出した。


「何?」

私は紙袋の中をチラっと覗いた。


「あ!!!」


中には、私の大好きな着古した先生の白いジャージが入ってた。

最後のあの日に私がホワイトデーに欲しいと言ったモノ。


「もう・・・いらないかもしれないけど・・」


先生の言葉をかき消すように私はその紙袋を抱きしめた。


「せんせ・・ありがと。」




このジャージを先生だと思って、大事にするよ。


先生・・・本当にありがと。


大好きだよ。



まだこんなに大好き。


まだ こんなにドキドキして 


先生にときめいてるよ・・



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