白いジャージ ~先生と私~

先生は、私の目を見て頷いた。


ふ~っと息を吐いて、扉を開けた。




「何やってるんですか?新垣先生!!呼び出し聞こえませんでしたか?」


立っていたのは、教頭先生だった。

ぽっちゃりした体にかわいらしい顔をした女の先生。

優しいと有名な教頭先生が珍しく怒ってる・・



「すみません・・・進路のことで相談に乗っていて・・・」


先生の影に隠れる私を見て、教頭先生はため息をつく。



「相談に乗ることはいいですが、特定の生徒だけ特別扱いすると、変な疑いをかける生徒もいますので・・・注意してください。」



その時、


先生も 私も


荒木さんの姿が

頭をよぎった。



「ここにいること、誰かから聞いたんですか、教頭先生・・」


「名前は出せませんが・・・あなたのクラスの生徒です。後をつけていたのかも知れません。泣いていましたから・・・その生徒には、私の方から話しておきます。教室では話せない深刻な悩みを相談していた・・・と。」


教頭先生は、チラっと私に視線を向ける。


「矢沢さんだったわね・・・心配しなくても大丈夫だから、今日は帰りなさい。」



先生と逆の方向へ歩き出した私は、

今にも泣き出しそうな気持ちを抑えてた。


振り返ると


先生が



「また明日な!」



と笑顔で手を振ってくれた。
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