白いジャージ ~先生と私~
「元気ないだけで、家まで来てくれるんですね。先生みたいな先生がいれば、私も違ってたかな・・。私は、一週間休んでも誰も来なかったよ・・」
お姉ちゃんの目は、とても寂しそうだった。
穏やかに話すお姉ちゃんを見ていると、涙が出そうになった。
お姉ちゃんは、中学時代登校拒否をしていた時期があったんだ。
荒れたお姉ちゃんと真剣に向き合ってくれる先生は・・一人もいなかった。
お母さんは、私の肩をツンツンってした。
お母さんと私は、リビングへ下り、先生とお姉ちゃんは少し立ち話をした。
お母さんの洗い物の音で、2人の会話はほとんど聞き取れなかった。
聞こえたのは、
「お願いします・・」というお姉ちゃんの声。
「また来ます・・」という先生の声。
玄関でお母さんに挨拶して、先生は私を見て小さく頷いた。
玄関のドアを静かに閉める先生。
突然来て、突然消えるスーパーマン。
私は勢い良くドアを開け、先生を追いかけた。
「先生!!」
振り向いた先生は、月明かりの下で、優しく微笑んでくれた。
「良い姉ちゃんじゃん・・」
私はその言葉に・・涙が出そうになる。