教えて、春日井くん


自然と車が通るほうに立ってくれて、何かを話せば少し屈んで目を合わせながら話してくれる。

春日井くんは優しい人だ。自分の好みとか、そういうのを全て抜きにしても彼は素敵で魅力的な男の子。

タイムリミットがゆるりと音を立ててやってきている。

この好きって気持ちは、どんな形なんだろう。春日井くんが私に向けてくれている好きと、私の好きは違うのだろうか。

好きな小説の再現をしたいなんて、今思うととんでもないお願いをして、不純な付き合いをしてしまった。


彼の想いに、誠実に答えたいと思う。なのに春日井くんを前にすると、うまくいかないことも多い。



「御上さん、自転車」

手を取って避けてくれる春日井くんに、心臓が飛び出そうなくらい大きく跳ねて息を止めてしまう。

私は時々春日井くんといると、うまく呼吸ができなくなる。


変な感じがして、むず痒いのに嬉しさもあって、だけど無性に泣きそうになることがある。たぶん情緒が不安定ってこういうことをいうのだと思う。



「ぼーっとしてどうしたの?」

「え? あ……ううん」

ほら今だって。本当はなんでもないよって笑うはずだったのに、言葉が喉元に引っかかって出てこなかった。変なの。変だよね、私。



春日井くんに心配なんてかけたくないのに、うまく思った通りの言葉が返せなかった。





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