教えて、春日井くん





そんなこんなでふたりでいる日々は過ぎていき、約束のお試しでの1ヶ月の付き合いは明日で期限を迎える。

私たちはその話題をずっと避けていたけれど、もうそろそろ向き合わなければいけない。



「てかさぁ、御上さんと春日井まだ続いてんの?」

廊下を歩いていると絡まれた。

初めて話す人ばかりで名前すら知らない女子たち。
第二ボタンまで開いていて香水の匂いがすごい。髪の毛は明るめで化粧も濃いため圧倒されてしまう。



「続いてます」

上履きの色を見る限り同級生なのはわかっているけれど、なんとなく敬語で答えてしまった。


「じゃあもうヤった?」

「ちょっと愛菜、御上さん驚いてんじゃーん」

ぎゃははと笑われながらも、あけすけに聞いてくる彼女たちに感心してしまう。すごいオープンだ。さすがの私も驚いた。



「春日井と付き合いたいって子多いんだよねぇ」

「いつもリードしてくれるし、やっぱ女慣れしてるから同級生のやつより大人な男って感じ」

「そうそう。だからお堅そうな御上さんにいったのマジで驚き。雑食すぎでしょ」


……どこの春日井くんの話だろう。

確かに手練れだと思う時もあるけど、照れて耳が真っ赤になったり、狼狽たり……春日井くんはリードしてくれるという印象はそこまでない。



だけどこの人たちは、私の知らない春日井くんを知っているということ。

それがちょっとモヤッとしてしまう。





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