教えて、春日井くん


「ゆけ、ひより!」

亜未ちゃんが指をさすと、隣にいたひーちゃんが手をゴキゴキと鳴らす。危ない。それはとてつもなく危ない予感がする。


「ひーちゃん、あの」

「綺梨は下がってて」

武闘派のひーちゃんが拳を握って臨戦態勢に入った。



「ちょっ、冗談に決まってんじゃん!」

女子たちは「めんどくさ」と言って、顔を引きつらせて去っていく。まるで嵐のような人たちだった。誰なのかもよくわからない。



「大丈夫?」

呆然と立ち尽くしている私に亜未ちゃんが心配そうに声をかけてくれる。


「ふたりともありがとう。助けてくれて」

「言い返してやればいいのに。彼女は綺梨なんだから」

「あ、うん。そうなんだけど……」

相性という言葉が気になってしまったのだ。そもそもそんなものがあるなんて知らなかった。


ウブ男子にばかりに意識を取られていたので初耳で、私は新たな知識を得てしまった。


男女の関係に相性がある。
それならもしも……私と春日井くんの相性が悪かったらどうなってしまうのだろう。

再び1ヶ月ということが頭に過ぎる。

私たちの付き合いのタイムリミットが迫っているのに、私はなにを考えてしまっているのだろう。




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