教えて、春日井くん






この1ヶ月で変化したのは、教室の移動とか、お手洗いとかで廊下に出るたびに、自然と春日井くんのことを探してしまうようになった。

春日井くんが秋本くんと話していると、女の子が声をかけた。噂によると女子が苦手らしい秋本くんはスッと消えていく。


女の子は春日井くん目当てだったらしく、秋本くんがいなくなったことを気にするようすもなく、頬を紅潮させながら話している。


不誠実でチャラいと言われていたけれど、春日井くんってモテる。

遊びで近く子が多くても、中には本気で好きな子がいるのは見ていてわかってしまう。


春日井くんに声をかけた女の子が、ちらりと私に鋭い視線を向けてくる。邪魔をするなというような視線に怯んでしまう。



誰にも話していないけれど、私たちはお試しで1ヶ月付き合っている関係で、相思相愛になって付き合ったわけではない。

彼のことを好きな女の子を目の当たりにして、私は自分の足場がぐらりと揺れた気がした。



一番不誠実なのは私だ。
本気で春日井くんを想う女の子のためを思うのなら、私はこの関係を手放すべき。


だけど、それをする勇気が何故だかでなかった。






< 109 / 182 >

この作品をシェア

pagetop