教えて、春日井くん
思えば春日井くんは別れたいと言っていた。
それが冗談ではなくて本気だった可能性だってある。
「御上さん……?」
「私と付き合ってると、他の子と遊べないでしょ。さっきの子、追いかけたら間に合うかも……あとそれになんていうか、私たちって似合ってないらしいし」
噂話で散々言われた。
バカップルで案外お似合いとも言ってくれた人がいたけれど、それでもやっぱり『春日井と御上は似合っていない。全く違う二人』そう言っている人もいまだにいる。
春日井くんは私を好きだと言ってくれたけれど、今はどうなのかわからない。
日々変化するものかもしれないし、私は彼のことが好きになるのが怖い。そしたらもう取り返しがつかなくなりそうだ。
「御上さんは俺と付き合うの嫌?」
「……それは、」
「1ヶ月付き合ってみて、一ミリも好きになれなかった?」
「っ……春日井くんと付き合っても今みたいに女の子が誘ってくるんでしょ。そんなの苦しくて、いやだ」
胸の中が自分では理解しきれないくらいぐちゃぐちゃに掻き回されて、感情の制御がきかなくなるのが怖い。こんな感情、今まで持っていなかった。