教えて、春日井くん
「だ、だいたいっ、チャラいんだ! 女の子にたくさん手をだしてきたから、こうやって誘われるんでしょっ」
「……ごめんなさい。今は反省してる」
「っ今朝なんて、春日井くんと相性確かめたい女子がきて、春日井くんとしたいって言ってきた!」
「ええ……そんなこと言ってきた人いるの?」
私の目の前までやってきた春日井くんの胸を拳で何度も叩く。
今朝から相性だのかまととだの言われ、先ほどの抱きつきの件といい、私は怒っている。苛立ちがおさまらない。
「私のお願いしか聞かないって言ったくせにっ! っなんで女の子にひっつかれてるの!」
「え、いや、それは突然で」
「抱きついていいのは私だけにして! その先も全部、私だけにして!」
「ちょ、ここ廊下だからね? あの、それにね、御上さんのイメージもあるから大声でそういうことは……」
私のイメージなんてどうだっていい。
それに私の初めてのキスだってあっさり奪ったくせに、別れるときもあっさり了承だなんて。
きっと私は今理不尽に春日井くんに怒っているから、彼はどうしたらいいかわからず困っているはずだ。
「でももういい」
「え、」
「だって別れたし……彼女じゃないし。さよなら」
投げやりになって踵を返して廊下を歩いていく。もうふたりで会うこともない。
嫌だ。こんなときになって、春日井くんへの独占欲が恋愛感情からきているものなのかもしれないって気づきたくなかった。