教えて、春日井くん



好きでも付き合っていたらきっと苦しい。こうして毎回女の子たちが彼に迫る。

溢れ出てくる涙を両手で拭いながら歩いていると、背後から腕が伸びてきて勢いよく引き寄せられた。


「……っ、なにして」

慌てて引き剥がそうとしたけれど、私の力では振り解けない。



「御上綺梨さん、俺と付き合ってください」

後ろから抱きしめられながら、耳元で告白をされる。

優しい声音で、だけど必死に引き留めるようだった。



「絶対よそ見なんてしない。御上さんだけを好きでいる」

「……そんなこと言っても、女の子たちは」

「俺に首輪でもつけて」






< 119 / 182 >

この作品をシェア

pagetop