教えて、春日井くん
詳しい事情はあとで話すからと言われ、放課後に俺は綺梨ちゃんと教室で向かい合って説明を受ける。
どうやら綺梨ちゃんの友達の〝ひーちゃん〟という女子に片思いをしているため、相談を受けたらしい。
ただ教室だとひーちゃんに見られてしまうから、ひと気のない場所で話を聞いていたそうだ。
「ひーちゃんのこと好きだけど、話すの緊張しちゃうんだって」
「……それで、綺梨ちゃんはアドバイスしてたってこと?」
「うん。ひーちゃんはひーちゃんで、自分が嫌われてるんじゃないかって誤解してたから、早めに誤解といた方がいいよって話してたの」
事情を俺は綺梨ちゃんにされて、ほっと胸を撫で下ろす。
「……綺梨ちゃんが笑ってたのは?」
「笑ってた? あ……あんまりにも必死だったから可愛いなーって思ったからかな」
「へえ……」
必死で可愛い、ね。ますます綺梨ちゃんが好きそうなウブそうな真面目男子。事情は分かったとはいえ、俺としてはちょっとおもしろくない。
「なんかちょっと不機嫌?」
「……綺梨ちゃんが好きそうなタイプだなって思って」
すると声を上げて綺梨ちゃんが笑い出した。たぶん女々しいことを俺が言ったからだ。
「いや、違くて、その……今日綺梨ちゃんに振られる夢見て、それで……」
いつも以上に過敏に反応しているだけだ。……多分、きっと。