教えて、春日井くん
一歩近づいて、緩慢な動作でバスタオルを外していく。
バスタオルが足元に落ちると、春日井くんがごくりと息を飲んだのがわかった。
フリルのついた白のホルターネックのビキニを、くるりと一周回って見せてみる。
「どうかな?」
声をかけても、春日井くんはなにも言ってくれない。
硬直している彼の前にしゃがみ込んで顔を覗くと、再び彼の喉が鳴った。
「き、綺梨ちゃん……それ、さ……もう下着じゃん」
「え、そんなことないよ。普通の水着だよ」
ぶんぶんと首を横に振られる。春日井くん、水着ってこういうものだよ。
「全部隠れてるやつがいい」
「ダイビングでもするの……?」
「……じゃあ、スクール水着」
「うちの高校、プールの授業ないから中学のスクール水着しかないよ?」
それにしても高校生の彼女がスクール水着を着て海に行くって、春日井くん……それでいいのかな。
春日井くんはなにかに気づいたように、ハッと目を見開く。