教えて、春日井くん


「その確認のために走ってきたの?」

「うん。あと、会いたくって」

ストレートな言葉に驚いて、目を見開く。
彼がモテるのは、こういう真っ直ぐさに惹かれる女の子が多いのかもしれない。



「御上さんに俺のこと、もっと知ってほしいし」

じっと見つめてしまう。主に唇を。
私はこの口とキスをしたのかと改めて考えると、すごいことだった。そういうことをするのはもっと先だと思っていたのに。


「今日の放課後も教室いる?」

「え? あ、いると、思う」

まだ小説を読み終わっていないので放課後に残って読む予定だった。

けれど、放課後という言葉によって、再び昨日のキスが脳裏に浮かぶ。



「じゃあ、また放課後に会いに行く」

春日井くんは軽く手を振って、廊下を走り去っていった。

その後ろ姿を眺めていると、気持ちがふわりと浮上していく。春日井くんって思っていた人と少し違っていた。




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