教えて、春日井くん
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放課後、再び私たちはふたりきりで過ごしていた。
真っ白な世界で密着する私と春日井くん、その中は少しだけ空気がこもっている。
「ごめん、この状況なに?」
「カーテンに男女が包まる。やってみたかったシチュエーションなの」
「……暑くない?」
「少し」
初々シリーズで書かれていた私の憧れのシチュエーションの一つで、彼らはこのカーテンの中でキスをしようとして……でもできなくて、彼氏は彼女の首筋にキスを落とす。
そしたら彼女が声を出しちゃって、その声に彼氏は顔真っ赤になってあわあわしてた。
はああ……なんて素敵なドキドキシチュ。
試してみたくって、春日井くんにお願いしてしまった。
「御上さん、これ距離近くない? キスまたしちゃうよ?」
「うん。ちょっともう一回、キスしてみて」
「へ?……そんな軽いノリでいいの?」
驚かないでいただきたい。
一度キスをした私のストッパーはすでに馬鹿になっている。
今日だって何度もキスという単語が脳内で土砂降りだった。平常心を保つのが大変だったのだ。
「今度は私のイメージ通りのキスにしてほしくて」
春日井くんとキスをしてからというものの、あの破廉恥なキスが頭から離れない。しまいには、こんなキスも試してみたい!と欲が出てきてしまって、私は相当変態だ。