教えて、春日井くん
「綺梨、気をつけるんだよ! あんたのこと狙っているやつごろっごろ転がってるから」
「ごろっごろ……」
一年の頃は告白をされる回数は多かったけれど、二年になってからは減った気がする。
「呼び出されても、あんまりひと気がない場所とか言っちゃダメだよ!」
「そうだよ、危ないから!」
ふたりの気迫に圧されつつ、頷いておく。
春日井くんのことは口が裂けても言えない。
ひーちゃんはすらりとした美人だけど元空手女子で腕っ節が強いから、春日井くんがミンチにされそう。
小柄で可愛らしい亜未ちゃんは案外女王様気質なので踏み潰して見下ろしそう。
……とは言っても、キスをしてきたのは春日井くんだけど、そのあと強請ったのは私だ。知られたら呆れられてしまいそうだ。
「綺梨には大人な男の人が合いそうだよね。同級生の男が綺梨と並んだらただのガキに見えちゃう」
「いや、私は大人の人には興味ないよ」
だって高確率で初めてのお付き合い経験を済ませてしまっているはず。
ちなみにふたりにはドン引きされそうなので好きなタイプは内緒にしている。
「ねえ、例えば……キスされて嫌って思わなかったらそれは恋なの?」