教えて、春日井くん


「春日井くんは変わった趣味なんだね?」

「御上さんにだけは言われたくない」

私の好みのタイプのことを言っているのだろうか。

いやいや世の中にはウブな男子が好きな女子は案外いると私は思っている。みんな隠しているだけだ。だって初々シリーズは人気作なんだもの。


「あ、本っ!」

「ねえ、御上さん」

私から本を取り上げた春日井くんは、真剣な眼差しを向けてくる。




「好きだよ」

時が止まった感覚がした。
いつもと同じように余裕そうに見えるのに、冗談だと受け取るには春日井くんの瞳には熱が宿っている。


「初めては戻ってこないけど」

「……戻ってこないんだ」

「ごめん、それはさすがに難しいね」

一度失った初めては戻らない。わかっている。

だけど私、たぶん春日井くんのこと嫌じゃない。キスできるし、もっとしたいって思う。対象外ではないってことなのだろう。



「俺を見て」

吸い込まれそうなほど、真っ直ぐに告げられる。

告白をされたことは今まで何度かあるけれど、こんなふうに心臓が妙な動きをするのは初めてだった。

なんだか落ち着かない。普段の鼓動よりも速くて、手を胸に当てなくても全身に伝わってくるほどだ。


「俺のことを見てほしい」

「……春日井くんのこと、今も見てるけど」

「俺とキスして嫌だった?」




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