教えて、春日井くん
「御上さんは変態なこと言いながら、求めてくるのは手を繋ぎたいとか、頬にキスとかかわいいことだよね」
「そうかな?」
すべて読んだ本のシチュエーションだ。つまり初々シリーズがかわいいのだと思う。
「だけどさ、男なんてもっとすごいこと考えてるし望んでるし、あんまり煽らないでね」
「もっと、すごいこと」
ごくりと息を飲む。
想像をしてみるけれど、私の乏しい脳内では破廉恥なことがゲシュタルト崩壊を起こすだけだった。世の中の男の子たちは、一体なにを考えているのだろうか。
「聞きたい!」
「え」
「聞かせて聞きたい! すごいことってなに考えてるの!」
私の食いつきっぷりに引いたのか、春日井くんが無言になる。失敗した。もっと控えめに聞けばよかった。
ちょっとだけ聞き方に後悔をしていると、春日井くんが声量を落として話し始める。
「もっと触れたいし……キスだってしたいし、それ以上のことだっていずれはしたい」
触れたことあるし、キスもしたことある。けれどそれ以上というのは……もっと過激なこと? そういえばまだ抱きしめられたことがない。
「意味、わかる?」
「わかる、気もする。私も春日井くんに触れたいし、キスしてみたいし、それ以上はまだちょっと未知だけど」
「ぜんっぜんわかってない」
ええ!?と大きな声を漏らしてしまう。なにがわかっていないのかがわからない。