教えて、春日井くん
「俺から離れられないようにしないと」
月曜日になり、学校へ行くと違和感を覚えた。
異様に視線を感じる。最初は自意識過剰かと思ったけれど、明らかにこそこそと話しながら私を見ていた。
一体なんだろうと不思議に思いながら歩いていると、教室へ行くまでに出会った友達数人に声をかけられた。
みんな決まって聞いてくることは『春日井と付き合ってるの?』だ。
それに対し頷くと、呆然とする人や顔を引きつらせる人など様々。誰もおめでとうと祝福をしてくれない。
どうやら金曜日の放課後に私と春日井くんを目撃した生徒が多数いたらしく、一気に広まっている。そしてその事実確認をしにきているようだ。
動物園の檻の中にいるような気分で教室へ入ると、私はすぐさま拉致されて女子トイレへと押し込まれた。
「え、わっ、なに?」
「綺梨! どういうこと!」
「亜未ちゃん、あの、顔が近いよ」
亜未ちゃんが鼻息を荒くして怒り狂っている。
「なんでよりによって春日井!?」