教えて、春日井くん
「お相手は」
「ねえ、顔近いよ」
「どのようなシチュエーションで?」
「キスしていい?」
脳内で妄想が止まらない。中学二年生の春日井くんはさぞかし初々しくて可愛かっただろう。
そんな彼の初めてを奪ったのは、同級生……いや先輩。あるいは女教師!? 脳内で妄想が止まらなくなり、頭がショートしそうになる。
ああもう、知りたくてたまらない。だから私は交換条件を出すことにした。
「キスしたら教えてくれる?」
「は?」
私のキスで初めてのときの話が聞けるのなら、喜んで接吻しよう。
そういえば、キスってどんな感じなんだろう。
小説ではよく柔らかいとかそういう表現がされているけれど、味はあるのだろうか。ちょっと……いやぶっちゃけかなり気になる。
「初めてキスしたときの感想も知りたい!」
「……待って、俺どうして御上さんに恥ずかしい過去話をしなくちゃいけないの?」
「恥ずかしいの?」
「え、恥ずかしくないの!?」
これが価値観の違いというやつなのだろうか。
ハッ! それとも春日井くんもしや……
「実は照れ屋なの?」
「普通、そんなこと人に話さないでしょ」