教えて、春日井くん
「あとさ、男に興味がなさそうだった御上綺梨が付き合う=実はそういうのに興味があったってわかったからだよ」
ひーちゃん曰く、私が恋愛には興味がなさそうに周囲には見えていたらしい。
「今まで綺梨に告白してた男は勇者扱いされてたもんね」
「ひーちゃん、勇者は大袈裟じゃ……」
「いやいや、綺梨いっつも本に夢中で男子に興味なかったでしょ」
「う、それは……」
男子には興味あった。でもそれは本の中のウブ男子にだ。
現実の男子で理想的な人となかなか出会えなかったし、あの頃は本で満足できていたから、付き合う気がなかったとも言える。
「あの黙っていても女が寄ってくる春日井の彼女を奪ってやろうぜ!って卑屈な恨みを持っている男子たちが、綺梨を落とせるか賭けをしてるらしいよ」
「さいってい!」
ひーちゃんの言葉に亜未ちゃんがますます激怒する。
確かにそれは最低だ……。そんなことして何が楽しいのだろう。
……男心ってよくわからない。
「綺梨、ぜーったい変な男とふたりっきりにならないように気をつけなよ!」
亜未ちゃんの忠告に私は首を縦に振る。
大丈夫だとは思うけれど、妙な流れになっているみたいだし、気をつけよう。
それに告白してくる人たちは明らかに初めてじゃなさそうなので、興味が生まれない。春日井くんは特殊な例なのだと改めて感じる。