教えて、春日井くん






「御上さん」

放課後になり、春日井くんと待ち合わせ場所へ向かおうとしていると、一年の時に同じクラスだった男子、上島くんに声をかけられた。

明るめの茶髪はゆるくパーマがかかっているようで、垂れ目が印象的な男子。

あまり話したことはないけれど、気さくでクラスのムードメーカーだったことは覚えている。



「春日井と付き合ったってマジ?」

今日何度それを聞かれただろうかと、少々ぐったりとしながらも頷く。


「御上さんってああいうのがタイプだったんだ?」

「ああいうのって?」

「春日井みたいなチャラいやつ」

上島くんの視線からは嫌悪が見てとれて、なにが彼にとってそんなに嫌なのかと疑問が生まれる。

私とは対して関わっていないし、春日井くんと何かあるのだろうか。



「てかさ、もし俺が……一年のときに御上さんに告白してたら、どうなってた?」

思ってもみなかったことを言われて、理解までに数秒かかった。

同じクラスだった頃に、上島くんから告白をされていても私はきっと断っている。



「それか春日井と付き合う前に俺が告白してたら……どうしてた?」

明確な言葉にされなくても、向けられた視線で伝わってくる。

彼が私に対して、どんな感情を抱いているのか気づいてしまった。



「私は」

「どうもしねーよ」



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