教えて、春日井くん
「ね、こないだ電話で言ってた再現する?」
「え、うん!」
口の端にキスするやつだ! なにか怒っているのかと思ったけれど、どうやら勘違いだったらしい。
わくわくしながら春日井くんのことを見つめると、視線が交わる。
「目、絶対閉じちゃダメだよ」
「うん、全部見る」
ゆっくりと顔が近づき、距離が詰められていく。
伏し目がちの春日井くんはどことなく色気が醸し出されていて、時折見せるウブっぽさがない。だけど、不思議と心臓が高鳴る。
私の注文通り、口の端にキスをされる。そして、すぐに角度を変えられて、唇を重ねられた。
「んっ!?」
目を大きく見開き、抵抗しようと体を動かすと片方の手は背中に、もう片方の手は私の頭に回されて掻き抱くようにキスを続けられる。
何度も、何度も角度を変えられて、啄むというよりも食べるような動きで、口の中に春日井くんの舌が割って入ってきた。
「んぅ……っ」
「ほら、目閉じちゃダメだって」
「……っはぁ、」
甘い。またキスが甘くて溶けそうな気持ちになる。
「全部、見るんでしょ。ね?」
「——っ」
〝飴、今度は違う味にするよ〟
以前の言葉を思い出し、最初からこのつもりで春日井くんは飴を舐めていたことに気づくと、全身に甘い痺れのような感覚が走る。