教えて、春日井くん
ダメだ。こんなの、私の知っているシチュエーションじゃない。
私がかわいいって言った春日井くんはどこにもいない。
目の前にいるのは、私に欲情している男の子だ。
それなのに振り払えない。覚えさせられた快楽に浸ってしまうほど、私は相当変態らしい。
「付き合っている間は、俺だけの御上さんなんだから」
「っちょ……っ、耳のな、かっ!」
「よそ見しちゃダメだよ?」
「う、ぁ……っ」
ダメだと身を捩っても解放してくれず、幼い子に言い聞かせるように優しい声が降ってくる。
「わかった?」
「わ、かった……っ!」
「ん、ならよかった」
散々私をいじめた春日井くんは、ものすっごく満足げに離れていく。
上機嫌な春日井くんを睨みつけると、指先で目尻に浮かんだ涙を拭ってくる。
「いじめてごめんね?」
「謝るならしてはいけないと思う!」
「だってさ、御上さんってウブな男子に告白されたら揺らいじゃいそうだから、早めにマーキングしておかないとって思ってさ」
私がウブ男子にしか眼中にないみたいな言い方!
……あ、いや、そうではあるのか。春日井くんの告白を最初に断ったときもそう言った覚えがある。でも今は春日井くんと付き合っているのだから、浮気なんてしないのに。