教えて、春日井くん



「サッカー好きなの?」

私の質問に視線を泳がせる春日井くんはぎこちなく笑う。

いやぁとか、うーんとか煮え切らない。これではサッカーが関係していますと言っているようなものだ。

そういえばひーちゃんが春日井くんは中一まではスポーツ男子だったと言っていた。


「もしかしてサッカー部だったとか?」

「……まあ、昔ね」

あ……ダメだ。聞くべきじゃなかったことだ。と直感的に思い、私は春日井くんから離れる。

たぶん、触れられたくないやつ。



「御上さん?」

「ごめん」

「なんで謝るの」

顔をくしゃっとさせて笑う春日井くんが、可愛らしく見えて心臓が抉り取られそうだった。ひょっとしたら今抉り取られたかもしれない。





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