伯爵令嬢のつもりが悪役令嬢ザマァ婚約破棄&追放コンボで冥界の聖母になりました
ベッド脇の鏡台に向かって髪を整えてもらっていると、ミリアが鏡の中のエレナをのぞき込んできた。
「それにしても、わたくしのような侍女が公爵の娘だなどと、何の妄想でございますか。またラテン語の勉強のふりして小説の本を重ねていらっしゃったのですか」
やっぱりバレていたらしい。
首を振って否定しようとすると、侍女が頭を両手で挟んでピンをはめた。
エレナはあらためて言葉で否定した。
「そ、そのようなはしたないこと、このわたくしがするはずがないではありませんか」
「さあ、どうでしょうか」
手を止めたミリアがかたわらの枕の下から本を引っ張り出した。
表紙には『ラテン語教本』と書かれている。
「寝床に入ってから本を読むと目が悪くなるとあれほど申し上げておりますのに、困ったお嬢様でございますこと」
エレナは鏡の中のミリアから視線をそらした。
耳元でささやき声が聞こえる。
「……犯人は侍女でございますよ」
はあ?
「ちょっと、恋愛小説に犯人がいるはずないでしょ!」
思わず叫んでしまった。
「ああ、恋愛小説でございましたか」
はっとした表情のエレナを見て、鏡の中の侍女が笑っている。
「寝床で小説などをお読みになると、おかしな夢を見てしまって、またおねしょをなさいますよ」
「するわけないでしょ。わたくしだって、一人で起きておトイレくらい行けます」
「さようでございますか。ご立派におなりになられて」
鏡の中でミリアがため息をついている。
エレナは人差し指を立てた。
「フィアトルクス」
「なんでござますか?」
「ラテン語で『光あれ』よ」
「さようでございますか。よくお勉強なさっていらっしゃるようで」
髪を整え終わって部屋を出ようとすると、侍女が軽く咳払いをした。
「あの、お嬢様」
「なあに?」
「お嬢様がお望みであれば、わたくしはいつでもおそばにおります」
エレナはそっとミリアを抱き寄せると、彼女の耳元でささやいた。
「ありがとう。これからもよろしくね」
「それにしても、わたくしのような侍女が公爵の娘だなどと、何の妄想でございますか。またラテン語の勉強のふりして小説の本を重ねていらっしゃったのですか」
やっぱりバレていたらしい。
首を振って否定しようとすると、侍女が頭を両手で挟んでピンをはめた。
エレナはあらためて言葉で否定した。
「そ、そのようなはしたないこと、このわたくしがするはずがないではありませんか」
「さあ、どうでしょうか」
手を止めたミリアがかたわらの枕の下から本を引っ張り出した。
表紙には『ラテン語教本』と書かれている。
「寝床に入ってから本を読むと目が悪くなるとあれほど申し上げておりますのに、困ったお嬢様でございますこと」
エレナは鏡の中のミリアから視線をそらした。
耳元でささやき声が聞こえる。
「……犯人は侍女でございますよ」
はあ?
「ちょっと、恋愛小説に犯人がいるはずないでしょ!」
思わず叫んでしまった。
「ああ、恋愛小説でございましたか」
はっとした表情のエレナを見て、鏡の中の侍女が笑っている。
「寝床で小説などをお読みになると、おかしな夢を見てしまって、またおねしょをなさいますよ」
「するわけないでしょ。わたくしだって、一人で起きておトイレくらい行けます」
「さようでございますか。ご立派におなりになられて」
鏡の中でミリアがため息をついている。
エレナは人差し指を立てた。
「フィアトルクス」
「なんでござますか?」
「ラテン語で『光あれ』よ」
「さようでございますか。よくお勉強なさっていらっしゃるようで」
髪を整え終わって部屋を出ようとすると、侍女が軽く咳払いをした。
「あの、お嬢様」
「なあに?」
「お嬢様がお望みであれば、わたくしはいつでもおそばにおります」
エレナはそっとミリアを抱き寄せると、彼女の耳元でささやいた。
「ありがとう。これからもよろしくね」