イミテーション・ハネムーン
『ご結婚のご予定のないあなた…素敵なハネムーンに行きませんか?』


意味のわからないキャッチコピーに、つい私は目を奪われてしまった。
読み進めていくうちに、旅行の内容がわかった。
つまり、それは仮想ハネムーン。
行き先は、ごくありふれた観光地への三泊四日。
だけど、旅行の内容が少し変わっている。
好みの添乗員を選び、その人を夫だということにして、ハネムーンに行くというのだ。
もちろん、添乗員さんも夫だという設定で付き合ってくれるらしい。



(だから、そんなに高いのね。)



朝八時から夜十時まで、お客は添乗員さんと一緒に過ごす。
お互いに夫婦のつもりで…



馬鹿馬鹿しい…そう思う心とは裏腹に、私はそのプランに酷くひかれていた。



愚かな私の最後には、お似合いのプランかもしれない。
お金だって、持ってても仕方ない。
どうせならパーッと遣ってしまった方が心残りがなくて良い。
それに普通のプランはもうどこも一杯だ。
なんたって、GWなんだもの。



……私の心は決まった。



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