イミテーション・ハネムーン
*
(ここで間違いないよね…?)
五月二日の朝、私は駅の改札で、『夫』が来るのを待っていた。
GWということで、駅は混雑していた。
添乗員さんはイケメン揃いだったけど、私が選んだのは、イケメンといえばイケメンだけど、どちらかというと、癒し系の男性・圭吾さん。
年齢は40歳と書いてあったけど、画像で見た感じはもう少し若く見えた。
二日から五日までの間、私達は、小山田夫妻となる。
呼び方は、紗季、圭吾さんということにした。
「ごめん!待った?」
息を切らせてやって来たのは、画像よりも少し快活な感じのする圭吾さん。
「圭吾さん…ですか?」
「なに言ってんの?
紗季…まさか、旦那の顔、忘れたんじゃないよね?」
ごく自然な演技…
初対面の人とはとても思えない。
(添乗員さんも大変だな…)
なんだかとてもおかしくなって、さっきまでの緊張感が一気にほぐれた。
「じゃ、行こうか!」
「そ、そうね…」
私も彼に合わせて、いつもより少し明るい声でそう返した。
(ここで間違いないよね…?)
五月二日の朝、私は駅の改札で、『夫』が来るのを待っていた。
GWということで、駅は混雑していた。
添乗員さんはイケメン揃いだったけど、私が選んだのは、イケメンといえばイケメンだけど、どちらかというと、癒し系の男性・圭吾さん。
年齢は40歳と書いてあったけど、画像で見た感じはもう少し若く見えた。
二日から五日までの間、私達は、小山田夫妻となる。
呼び方は、紗季、圭吾さんということにした。
「ごめん!待った?」
息を切らせてやって来たのは、画像よりも少し快活な感じのする圭吾さん。
「圭吾さん…ですか?」
「なに言ってんの?
紗季…まさか、旦那の顔、忘れたんじゃないよね?」
ごく自然な演技…
初対面の人とはとても思えない。
(添乗員さんも大変だな…)
なんだかとてもおかしくなって、さっきまでの緊張感が一気にほぐれた。
「じゃ、行こうか!」
「そ、そうね…」
私も彼に合わせて、いつもより少し明るい声でそう返した。