Livre magie〜桜色の魔女〜
「こっちです!助けて!!」

女の子の声が近くなっていく。木々をすり抜けながら近付くと、全身毛むくじゃらの物の怪がピンクのリボンを結んだ黒いレースのワンピースを着た女の子を襲おうとしていた。

「リオンを襲った物の怪とはまた違った見た目だね」

「物の怪にも種類みたいなのがあるらしい。それより、あの子を助けるぞ!」

リオンが弓を構え、僕は剣を取り出す。リオンが弓を放つと同時に、僕はほうきから飛び降りて物の怪の首を狙った。

リオンの放った矢が物の怪の心臓を貫き、僕は毛むくじゃらの首に刃を叩き付ける。物の怪は耳を塞ぎたくなるような断末魔を上げ、その場に崩れ落ちた。

「倒せた……よかった……」

安心し、僕はその場に座り込む。終わったことなのに手が緊張で震えている。調査協力で人を助けるなんて初めてで、自分が思っていたより緊張していたみたいだ。

「ノワール、よくやったな!」

リオンが僕の肩を叩いて笑う。そして、女の子を見つめて「お怪我は?」と訊ねた。そこで僕は顔を上げ、初めて女の子の顔を見たんだ。
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