Livre magie〜桜色の魔女〜
僕も二人に任せっぱなしではいけないと、物の怪と剣で戦い続けた。そして森の中にいた物の怪が全員倒せた頃、海の方から低い唸り声が響く。

「あっちの方角って、主人公が王子様と愛を誓う浜辺ですよね」

エリカがそう言い、僕は頷く。僕の小説を本当に好きでいてくれているんだなと思い、嬉しさを感じながら。

「行こう!」

僕はそう言い、浜辺へと飛び立つ。たった一人で小説の世界に閉じ込められたエリカに怖い思いをさせ続けた物の怪のボスを倒し、平和な物語の世界を取り戻したい!エリカの笑顔を見て、何故かそう強く思ったんだ。



主人公と王子が愛を誓ったのは、正確には浜辺に近いところにある白い教会だ。水平線が見渡すことができ、母さんが父さんと結婚式をした場所をモデルにして書いたんだ。

「あれがボスだな」

リオンが指差す先には、海から顔を出して唸り声を上げ続けている巨大なサメのような姿をした物の怪がいた。巨大な体、気迫、全てがボスであることを物語っている。
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