Livre magie〜桜色の魔女〜
執筆をしている時、いつも小さな音が生まれていく。タイプライターを打つカチカチという機械音、登場人物やストーリーをノートにペンで書いていく音、資料をめくる音。色んな音の中で小説は生まれていくんだ。

そんなことを考えていたら、だんだん瞼が重くなってくる。抗うことなく、僕は夢の中へ落ちていくことにした。



パリン、という音で僕の意識がクリアになっていく。夢のはずなのに、目の前にある光景や意識がやけにリアルだ。

僕は、ソファやテーブルが置かれたリビングらしき部屋にいた。と言っても、ノワールが暮らしている家のリビングではない。でも、このリビングは見覚えのあるものだ。

ふと下を見ると、僕の足元でお皿が割れている。破片があちこちに飛び散って危ない。早く片付けないと……。

僕がそう思って動こうとすると、またお皿が飛んできた。ガシャン、と音を立てて地面に落ちたお皿が割れる。

ドクドクと僕の心臓が嫌な音を立てる。久しぶりに感じるこの感覚、何だっけ?

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