Livre magie〜桜色の魔女〜
「あんたみたいな役立たず!!生きている価値なんてねぇんだよ!!」

母親の言葉に僕の体が止まる。時間が止まってしまったかのようだ。指先さえ動かせない。

「本当、何で生まれてきたんだろうな……」

ソファに座り、スマホをいじっていた男性ーーー父親が僕を蔑む目で見る。嫌だ、どうしてそんな目で見るの?僕は二人の息子なのに、どうして!!

「ーーール!ノワール!」

僕の目の前に、リオンの心配げな顔が映る。どうやら目を覚ましたらしい。僕はゼエハアと息を吐き、涙を拭う。リオンは僕の背中をさすってくれた。

「なかなか起きてこないから心配でさ。大丈夫か?」

リオンの問いに僕は「大丈夫だよ」と笑う。そう、あれは僕の前世。もう終わったこと。苦しむなんて馬鹿げている。そう必死で言い聞かせ、手の震えを誤魔化した。

「まあ、大丈夫ならいいけど……。早く朝ご飯食べよう」

リオンが部屋を出て行った後、僕は深く息を吐く。そしてやけにリアルな過去の夢に、吐き気を催した。
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