Livre magie〜桜色の魔女〜
「小説の中に入れることができる人間は限られている。捜査員も少なくて、助けてあげたいのに助けられない人が大勢いるんだ。一人でも多くの人を助けたい……」

そう真面目に言うオズワルドさんは、僕が思い描く警察官な目をしていた。一人でも多くの弱い人を助けたい、守りたい、そんな思いが伝わってくる。

「ノワール、協力してあげようよ」

僕の肩にそっと触れ、リオンが微笑む。僕が「でも……」と返すと、リオンは「大丈夫だよ」と言う。

「俺とノワールなら大丈夫だって!だってあの物の怪を二人で倒せたんだよ。あの世界から人を助けてあげたい!」

リオンの目からは強い意志を感じる。これは僕が何を言っても聞かない。もう最初から選択肢はないみたいだ。

「……わかったよ」

本の中に入れる人が少ないのは勉強して知ってる。だったら、その力を最大限に活かすしかない。

「ありがとう!本当にありがとう!」

オズワルドさんはそう嬉しそうに言い、僕に本を手渡す。そして事件の調査があるからと帰っていった。
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