出会いはアプリでした。
「ん?
てかどっち?」



『いや、分かってるでしょ。』



あなたですよ、兄の方ですよ。




『小林弟のお年は?』



「小林弟…」



「24だよ。」



微妙な顔をする小林弟と楽しそうにカウンターに肘を置いて少し身を乗り出した小林さん。



『24。』



これは99%あの小林弦太。



『短大2年の佐藤 奈央です。』



これは一か八か。
いや、別に本人でも本人じゃなくてもどっちでもいい。
でも本人だったらちょっと気まづいじゃん?



「よろしくお願いします。
佐藤さん?」



あれ?違う人だった??
それとも私の事なんか覚えてない??



『よろしくお願いします。』



「暫くは、使えない事務員だろうけどお手柔らかに。」



クスッとからかうように口を挟んだ小林さんは、原稿を手に奥に言ってしまった。



「はは、言い返せない。」



ネクタイを少し緩めながら苦笑した小林弟。
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