出会いはアプリでした。
小林さんがいなくなった今、小林弟と話すことも無い。



『あ、それじゃあお疲れ様です。』



気まずい。
アプリがどうのこうのじゃない、普通に。
初対面の年上の男の人ってちょっと苦手なんだ。



「あ、うん。
お疲れ。」



小林弟の横を軽く会釈をして通りすぎる。
首に掛けていたイヤホンを耳にして校門をくぐる。



やっぱ兄弟ってだけあって似てた。
でも、小林さんの方がイケメンかな。
まつ毛は小林弟の方がバサバサしてたな。
なんて考えながら、スマホとイヤホンをBluetoothで繋げる。



「佐藤さん!」



急に背後から大きい声で呼ばれて、反射で声がした方を止まって振り返った。
校門の前にいる小林弟が小走りで向かってくる。



『ちょ、声大きいです。』



大学の前を歩いていたOL2人がなになに?とニマニマ私たちを見ていた。
OLさんが思ってるような展開にはなるないけど。
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