出会いはアプリでした。
「あ、ごめん。」



『いえ、それで何ですか?』



「間違ってたらごめん、あのさ。」



言いにくそうに吃った小林弟。
言いたいことはわかる。



『マッチングアプリのでしょ?
そうですよ。』



「やっぱり!」



さっきの吃りはどこへやら、私を指さしてキラキラと笑う小林弟。
小林さんがこんなにはしゃいで笑ってるとこ見たことないんだけど、さすがは弟。



「画像ない人だったからメッセージ送るか迷ったけど、送って良かった。」



『は?』



「もう彼氏できた?
てか本当にアプリ辞めたの?他のアプリでやってるとかじゃなくて?」



『いや、全然。
全く何もやってないですけど。』



「そうなんだ。」



『?』



何が言いたいのか分からず首を傾げる。



「うんうん、なんでもない。
ごめん、話したかったのはこれだけ。
気をつけて帰ってね。」



バイバイと手を振って大学に戻る小林弟の背中をただ棒立ちで見送った。
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