出会いはアプリでした。
いやいやここで反応したらダメだ。
いま奏太さんは完全に私をからかってる。



私の心の中までを見通してるのかバインダーから資料を取り出してる小林さんはクスクスと小さく笑っている。
隣に座る小林弟は相変わらず不貞腐れたような表情をしている。



「じゃあまずこの前の資料の確認から。」



切り替えた奏太さんは胸ポケットからペンを取り出して資料を指していく。
さっきまでのふざけている雰囲気は全くなく、できる男!って感じ。
実際できる男!なんだろうけど。



「ここの話をもう少し詳しくしたいかなって思います。
なにかエピソードとかありますか?」



『ん~そうですね。
・・・書けるとしたら高校時代で練習してきたことと大学で練習してきたことの違い、目標とか。あとはー練習時間とかですかね。』



私だっていつもふわふわとお気楽なわけじゃない。
奏太さんに負けじと真剣に考えて答えていく。



「うん、そうですね。
目標とか練習時間がいいと思います。」



『わかりました。
また考えて持ってきます、期日あります?』
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