会長サマと、夢と恋。
「……ど、どうかな?」
わたしの下手な絵で、描かれたマンガのストーリー。
伝わるかな、って正直ドキドキしていたけど。
「……やばい、めっちゃキュンキュンした」
ノートから目線を上げて、頬を染めてつぶやくアキ。
「ほんとに⁉︎」
「うん、この先輩めっちゃカッコいい……! ミナミも読んでみ?」
アキからノートを受け取ったミナミも1枚ずつ丁寧にページをめくって、
「これ、いける気がする」
って言った。
その横でアキがカバンから自分のノートとシャーペンを取り出す。
「キャラデザ、大事だよね!」
「学ランかな、ブレザーかな」
「どっちも捨てがたい……。先輩、黒髪? 明るい方がいいかな?」
「うーん、黒ベタではないイメージ」
ふたりはあれやこれやと言って、キャラクターのデザインを描いていく。
あっという間に主人公の恋の相手の「先輩」のデザインができた。
「かっこいい……けど」
「けど?」
「……メガネないときの、会長に似てる」
「えっ⁉︎」
ふたり人が話し合って描いた男の子のイラストは、雰囲気が岸会長にそっくりで。
つい思ったまま言ってしまったわたしに、呆れたような視線が突き刺さる。