会長サマと、夢と恋。
『……じゃあ、明日……はちょうど夏期講習が半日だな。明日の午後からでもいいか』
「はい! もちろん!」
『テンション高すぎだろ。勉強会だぞ』
「だって〜……」
嬉しいんですもん、って言いかけて言葉を飲み込んだ。
気持ちが知られてるとはいえ、好意を押し付けるのはよくない。
『明日の十三時に、泉の駅前の時計のとこ。昼飯は家で食ってこい』
「はい!」
『返事はいいのな。時間ないから、わからなそうなやつだけ持ってこいよ』
「わかりました! あの、会長、」
『ん?』
「き、貴重な休みを、使っちゃっていいんですか?」
会長はさっき、「夏期講習が忙しい」って言っていた。
だから、半日休みだって貴重なハズなのに、そんなときまでわたしの勉強に付き合わせていいのかなって少し焦る。
……すると、ちょっとだけ間があいて、
『……俺はお前の、家庭教師、だからな。お前、生徒一号なんだろ?』
って、会長は言った。
その声は、すごく優しいものに感じて。
ありがとうございます、って言うのが精一杯で、そのあと「じゃあ明日な」という言葉で電話は切れた。