会長サマと、夢と恋。
呆れ顔の会長が、腕時計で時間を確認する。
「お前、丁度いい時間のバスあるのか」
「はい。結構本数でてるので。会長、電車ですか?」
「ああ。……じゃあ、そろそろ行くかな」
名残惜しいけど、仕方ない。
今日は嬉しい言葉をたくさんもらえたし、帰って勉強もしなきゃ。
「はい、今日はありがとうございました。また……」
「あれ? ……岸さん⁉︎」
『時間あったら、勉強見てください』って言いかけたわたしの声と、……全く別の、女の人の声がかぶった。
それは、どうやらわたしの後ろから聞こえたみたいで。
振り向くと、立っていたのは同じ歳ぐらいのキレイな女の子。