会長サマと、夢と恋。

……でも、そんなわたしとは正反対に、彼女はたちまち笑顔になって。

「あ、えっと、……橋本陽菜子さん⁉︎」

すごく高いトーンの声で、わたしの名前を呼んだ。

「え……そ、そうですけど……」

「やっぱり! いつも姉がお世話になってます! 長沢さおりの妹の、ひかりです。情報科の一年なんだよ!」

まるでアイドルのようなキラキラとした笑みを浮かべて自己紹介した彼女……ひかりさんは、立ち尽くすわたしの手を勢いよく握った。
そしてそのまま、ブンブンと縦に振る。

(テ、テンション高い……!)

長沢先輩はクールで、高飛車なイメージだけど。
妹のひかりさんは正反対の明るい雰囲気だ。

「はじめまして、橋本です……。わたしのほうが、お世話になってます」

「ずっと話してみたかったんだ! あ、陽菜子ちゃんって呼んでいい? 同じ一年だし!」

「う、うん……」

あれよあれよと言う間に、わたしも「ひかりちゃん」って呼ぶことになった。

それにしても、会長の言うとおり、学科が違うだけで本当に面識なくなるんだ。

同じ普通科の中でなら、別のクラスの人でも顔ぐらいは知っている人も多いけれど。
やっぱり棟が違うのが一番の原因だよね。

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