会長サマと、夢と恋。
自分の心の中に、さらにモヤモヤとしたものが広がっていくのがわかる。
「陽菜子ちゃん、大丈夫?」
黙ってしまったわたしを見て、篠塚先輩や七瀬先輩が心配そうに聞いてくれた。
二人はとても優しくて、わたしの生徒会入りを望んでくれていたけれど。
こうなってしまった以上、本心はー……
「長沢さんの妹を応援するしかないだろ」
無口な高沼先輩が、みんなの気持ちを代弁するように言った。
……そう、生徒会役員である以上、副会長の身内をないがしろにはできない。
それまで無言で話を聞いていただけの伊藤先輩も、渋々といった様子でうなずいて口を開いた。
「橋本さん。こんなこと言うのはアレだけど、今回は出ないほうがー……」
「あら、どうして?」
ふいに声がしたほうを振り向くと、開いていた扉から入ってきたのは長沢先輩で。
一瞬だけわたしを視界にとらえると、すぐ視線を逸らして他の皆さんに向けて言った。
「みんなも、無理にひかりの応援しなくていいのよ。自分が生徒会庶務にふさわしいと思うほうに、票を入れればいい」
理解あるように見せかけた発言だけど……ひかりちゃんがわたしに負けるわけない、と確信しての言葉だとわかる。