会長サマと、夢と恋。
それは、二学期に入ってすぐ行われた、全校球技大会での出来事。
自分の出ていた種目は一回戦で早々に負けてしまって、体育館で応援に徹していたわたしだけど。
「――で、岸会長が……」
「生徒会長? ほんとに……――」
「三年の、岸先輩――……」
……応援席でやたらと、「岸」「会長」というワードを耳にするな、と気づいた。
見回すと、周りは女子ばかり。なにがあったんだろうと不思議に思っていると、突然、黄色い歓声が飛び始める。
みんなの視線の先、バスケのコートを見下ろすと。
(え……っ⁉︎ あれ、岸会長⁉︎)
三年五組としてのチームで入ってきたのは、まるでアイドルみたいな男子の集団。
その中には安定の人気の川西先輩もいたけれど、わたしの視線はその横に。
羨ましいぐらいくっきりとした瞳は、今日はメガネに隠されていない。
それだけでだいぶ印象は違うけれど、彼は紛れもなく岸会長だ。
少し伸びた髪は汗で濡れていて、いつもと違う無造作な雰囲気。
運動する格好の会長をはじめて見たけれど、スタイルのよさが際立っている。