会長サマと、夢と恋。
……極め付けは、試合が始まってから見せつけられた運動神経のよさ。
走るのも速いし、パス回しもドリブルもシュートもバスケ部員なんじゃないかってぐらい上手い。
(どこまで、完璧なの……?)
「えー、岸会長かっこいい!」
「彼女、いるのかな?」
そんな声ばかりが聞こえてきて、思わず耳をふさいだ。
もともと三年生の先輩たちにはわりと人気がある、って聞いていたけど。
これで全校の女子の人気まで獲得してしまった。
(人気があるのは、生徒会長としては喜ばしいことだけど)
自分でも、ただのヤキモチだって、わかってる。
だけど、「会長にふさわしい存在になりたい」と思っていたのに、そのハードルはあまりにも高くなっていて。
自分の中にあった「自信」や「期待」は、日を追うごとにどんどん小さくなっていった。