会長サマと、夢と恋。

『放課後、生徒会室集合』

その日、久しぶりに岸会長から連絡をもらったわたしは、生徒会室の前まで来ていた。

選挙シーズンは正式な役員以外、生徒会室には入れない決まりだ。
役員の先輩方は「誰も見てないから大丈夫だよ」っていってくれたけど、それでもやっぱり気が引けるので部屋には入らずに廊下で会長と顔を合わせる。

「……久しぶりだな」

「はい……」

「悪かった、なかなか連絡できなくて」

大丈夫です、とは言うものの、本音はやっぱり寂しかった。
たくさん悩んでいるときに会長が近くにいてくれたら、どんなによかっただろう。

「今日呼んだのは、選挙の件だけど」

選挙のこと。

会長も「出ないほうがいい」って言うのだろうか。

……でも、会長にもそう言ってもらったほうが、気が楽になるかもしれない。
そっと顔を上げて、言葉の続きを待つと、

「……演説の時の原稿は、俺が考えてやる」

ーーえ……?

(原稿、って……会長は今でも、わたしが選挙に出るって思ってるの?)

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