会長サマと、夢と恋。

「今まで、俺にできることはやってきたつもりだったが」

「……あ、あの」

「何も伝わってなかったなんてな」

「……っ」

わたし、会長にひどいことを言った。

恥ずかしいし、苦しいし、消えてしまいたい。
なにも返せなくなったわたしを見てこれ以上話しても無駄だと思ったのか、岸会長は生徒会室に戻って行こうとする。

「会長、」
「……そういえば」

意味もなく呼びとめたわたしの声に、岸会長は振り返って。


「いつだったか、お前のこと、「変わったな」って言ったけど。……あれ、取り消す」


わたしの顔を見ずにそう言って、……今度こそ生徒会室に入っていった。

その場に立ち尽くしたまま、しばらく生徒会室の扉を見つめていたけれど。
ついに涙が溢れるのをガマンできなかった。

次から次へと、目からこぼれる雫が頬を濡らして、廊下に落ちていく。

意気地なしで会長を失望させてしまったのも、くだらないことを言って責めてしまったのも、全部わたし。
だから、自分が悪いって、わかってる。

だけどー……

自分で自分が情けなくて。
それから、大好きな会長との関わりも、なくなってしまって。

悲しくて苦しい気持ちばかりがのしかかって、その場を離れてもしばらく涙は止まらなかったーー。


< 138 / 177 >

この作品をシェア

pagetop