会長サマと、夢と恋。
13.会長と、決断。
次の日、目を腫らしたまま学校に行ったら、アキとミナミにものすごく心配されて。
ことの経緯を話したら「選挙、出るのやめよう」と強く言われた。
同好会がなくなっても、三人で漫画を描くことは変わらないし、最初の目標だった新人賞にも予定通り応募しよう、と決まって。
いまはアキとミナミが描いてくれている原稿に、ベタやトーンを貼っていく作業をしている。
……でも、漫画の登場人物の「岸会長に似ている男子」でさえ、見るたびに心が痛んで集中できない。
自分で作った話なのに、漫画の中の順調な二人が羨ましい、なんてバカなことを考えてしまう自分がいた。
(自業自得なのにね、)
わかってはいても、一日二日で切り替えられるようなものではない、よね。
そんな中、昼休みに教室でお弁当を食べていると、廊下からわたしの名前を呼ぶ声。
「陽菜子ちゃーん!」
「……ひ、ひかりちゃん⁉︎」
わたしを呼んでいたのは、ひかりちゃんで。
駆け寄ると、「来ちゃった」と、いつもの人懐っこい笑み。
……だけど、どこか周りの目線を気にしている様子で。
実際、情報科の人がこっちの校舎に来るのはめずらしい。
職員室や保健室に用があっても、教室があるフロアまで足を運ぶ人は少なくて、……なんとなく、好奇の目みたいなものにさらされている。
ひかりちゃんが可愛いから、ってのも原因かもしれないけど。