会長サマと、夢と恋。
「はい。いろいろ応援してくれてたのに、すみません。それから……」
岸会長と会わず、生徒会とも関わらないようになるってことは、川西先輩とも会うことがなくなるってこと。
『今までありがとうございました』って、感謝を伝えようとしたけど。
「なんで? 岸くんに何か言われた?」
「い、いえ……会長は関係なくて」
「ねぇ、俺じゃダメ?」
「……へっ?」
川西先輩の言葉に、思わず変な声が漏れた。
「推薦人、よかったら俺がやるよ?」
(……あ、なんだ推薦人のことか! ついドキッとしちゃった……!)
普段、少女マンガとか乙女ゲームとかばっかり読んでるからなのか、……それとも好きな人とうまくいかなくなってしまって、寂しいって気持ちがあるのか。
川西先輩の善意を自意識過剰みたいに捉えてしまって、自分を恥じる。
「川西先輩、ありがとうございます。でもわたし、選挙のことはあきらめてて」
「……でも、マンガアニメ同好会のことはどうするの?」
「それももう、部員と話して、仕方ないよね、ってなったので……。それに、」
『もう一つの理由も、なくなってしまったから』
また岸会長のことを思い出してうつむいたわたしの名前を、川西先輩は再び呼んだ。