会長サマと、夢と恋。
「第一、AOなんてもうすぐだろ。今月末だったか?」
「はい。でももう、夏休みに AO受けるって決めてから、準備は進めてきたので大丈夫です」
頑なに意見を貫こうとする岸会長に、先生も呆れたようにため息をつく。
「いくらお前が生徒会長で内申が良くても、今回ばかりは胸張って送り出せないぞ」
「はい。それでも大丈夫です」
「……めずらしいな。岸がここまで強く自分の意思を推すなんて。なににも執着しないで淡々とこなすイメージだったが」
「……俺は、そんな人間じゃないです。今だって……」
「なにか、きっかけがあるのか?」
先生の言う通り、クールでなんでもそつなくこなして。
今みたいに誰かに反対されていることを、押し通したりしないイメージの岸会長。
そんな彼が、どうしてー……
「いえ。……ただ、俺は。なんでも、やらないうちからダメだと決めつけることは、したくないんです」
……会長の言葉に、心臓がドクンと鳴った。
まるで、自分に言われているみたいな岸会長の言葉が、わたしの心に突き刺さる。