会長サマと、夢と恋。
(会長……)
「……そうか。お前がそこまで強く決めたなら、教師として受かるように全力でサポートしないとな」
「ありがとう、ございます……!」
あまり耳にしたことのない、嬉しそうな会長の声を聞いたあと、わたしはこっそりとその場を立ち去った。
やらないでダメだと決めつけることは、したくない。
それじゃあまさに、わたしの言ったことは気に入らなかっただろうな、って思う。
(わたしは、それでいいのかな)
さっきから、心のモヤモヤがなくならない。
三年生のフロアには本来の目的である川西先輩の姿はなかったから、残るは生徒会室だろうか、と思って四階にたどり着くと。
「お願いします! 川西先輩」
……また、誰かと誰かが話しているのが聞こえてきた。
なんだか今日はこういうことが多いな、と思って足を止める。
見ると、生徒会室の前で2人で話しているのは、2年生で現庶務の高沼文也先輩と……わたしが探していた川西先輩。
さすがに話に割り込むことはできないから、話が終わったころにまた来ようと背を向けたけれど。
「えー、なんで俺なの」
「川西先輩しかいないんです! 俺の推薦人、やってください!」
「……悪いけど、他をあたってくれる?」
(え、)
選挙に出るらしい高沼先輩の推薦人を、川西先輩が断っている。
もしかして、川西先輩はわたしの推薦人をやるつもりで、高沼先輩のお願いを断っているのだろうか。
だとしたら止めなければと、踵を返したとき。