会長サマと、夢と恋。
人を好きになって、相手にも好きになってほしいと思って。
でもその気持ちの表しかたは、人それぞれなんだなと感じる。
本当に難しくて、時には人を傷つけてしまったりして。
それでもみんな、恋をする。
できれば、……自分を含め、みんなが幸せになれればいいなと願った。
……そして、とても長く感じた役員選挙が終わる。
強がりに聞こえてしまうかもしれないけれど、わたしにとっては結果は二の次だ。
自分の意思で壇上に上がり、気持ちを伝えられたことは大きな成長で。
そして会長がわたしを認めてくれたことが嬉しかった。
「……なんか、疲れたな。悪いけど今日は、先に帰る」
「はい。会長、受験、お疲れ様でした! あと、本当にありがとうございました」
「ああ……」
肩の力が抜けたのか、大きく息をはいた会長は、思い出したようにわたしを見る。
「……そういや演説、うまくできてたな」
「えっ、会長ずっと、聞いてたんですか⁉︎」
「ちょうどお前の番で体育館に着いたからな」
「え〜……」
いつも通りの、会長との関係が戻ってくる。そしてわたしは、やっぱり。
「よくがんばったな」
ポン、と頭に乗る大きな手、優しい声、その表情。
……たったそれだけで、会長への想いが再び自分の中でハッキリと音を立てたのが、わかった。